ナガハマ カズヒロ   Nagahama Kazuhiro
  長濱 一弘
   所属   崇城大学  生物生命学部 応用微生物工学科
   崇城大学大学院  工学研究科 応用微生物工学専攻(修士課程)
   崇城大学大学院  工学研究科 応用微生物工学専攻(博士後期課程)
   職種   教授
分野バイオ・食品
タイトルスイゼンジノリの養殖技術の開発
シーズ名絶滅危惧種スイゼンジノリの保存と工業利用への道
キーワードスイゼンジノリ、サクラン、培養
研究シーズ概要スイゼンジノリ(水前寺海苔)は熊本市の水前寺成趣園の池で発見された食用の淡水産ラン藻類でその学名をAphanothece sacrum (Suringar) Okada という。単細胞の個体が寒天質の基質の中で群体を形成しその外観
は、茶褐色から深緑で不定形、成長すると川底から離れて水中を漂う。通常スイゼンジノリという場合、A.sacrum とその周辺環境に生息する微生物の集合体からなるバイオフィルムのようなものを指している。発見された水前寺成趣園内の自生地では天然記念物に指定されるも、今日ではほぼ絶滅、かつては、福岡県朝倉市甘木地 図1スイゼンジノリの外観区の黄金川にも自生していたが、福岡県を襲った豪雨により河川が決壊したこと、河川の水量低下と水質悪化に伴い収穫量が激減し、地元業者が廃業する危機を迎えている。熊本では嘉島地域において地下水をポンプでくみ上げ、引き込んだ池にスイゼンジノリが養殖されている。
利点・特長・成果本研究は、絶滅危惧種であるスイゼンジノリの生態を明らかにし、その種の保存を目指すことを目的とする。すでに特許を取得済みのスイゼンジノリの培養に最適化されたAST培地を用い、Aphanothece sacrum の純化を行い、純粋培養条件を確立する。そしてA.sacrum からのスイゼンジノリ形成機構の解明、A. sacrum ならびにスイゼンジノリ培養の最適化、保存方法の開発を行う。最終的には得られたA. sacrum とスイゼンジノリを自然界に戻し、固有の生態に基づく、失われた環境を復元すること、ならびにスイゼンジノリを利用して環境破壊の進む我が国における水質保全技術を開発することにある。
その他の研究ラン藻を用いたエチレン生産システムの開発
酵素耐熱化のための宿主系の開発
木質資源有効利用のためのセルラーゼのスクリーニング
プラズマ、オゾン処理の土壌改良への応用
肥料低減化のための微生物資材の開発
メッセージ(企業へ)スイゼンジノリは、現在わが国のおかれている漁業、農業の問題を解決する応用研究の種(たね)である。スイゼンジノリの生態を明らかにし、A. sacrum が、なぜ群体をなし多糖類に身を包むのか、スイゼンジノリ形成機構の解明、ならびにA. sacrum とスイゼンジノリの長期安定な保存方法を確立する研究報告はこれまでに皆無であり、本研究は、貴重な日本固有の水産資源を保全する研究であるとともに、この研究から派生する応用研究は、汚染物質からの土壌、地下水や海域の保全方法に一石を投じる、世界に類を見ない地球環境保全に資する研究である。環境破壊の進む我が国においても早急に取り組まなければならないテーマと考えている。