チヂワ タカヒト   Chijiwa Takahito
  千々岩 崇仁
   所属   崇城大学  生物生命学部 応用生命科学科
   崇城大学大学院  工学研究科 応用生命科学専攻(博士後期課程)
   崇城大学大学院  工学研究科 応用生命科学専攻(博士前期課程)
   職種   教授
分野ライフサイエンス
タイトルハブの毒を遺伝子科学的に解明する
シーズ名〜日本南西諸島ハブ属ヘビの毒ホスホリパーゼA2(PLA2)遺伝子の分子進化の解明〜
キーワードハブ、ホスホリパーゼA2、加速進化、ゲノム、多重化、多様性、適応
研究シーズ概要日本南西諸島には、固有の毒蛇マムシ亜科ハブ属ヘビが分布しています。マムシ系ヘビの粗毒は、出血や浮腫、筋壊死、血圧降下などの生理活性を持った数百種類の成分(タンパク質・ペプチド)のカクテルで、咬まれた場合は重篤な症状を引き起こします。またそれら毒タンパク質の多くは、祖先遺伝子が数個から数十個に重複し、その兄弟遺伝子に様々な突然変異を蓄積することで多様化した「アイソ(同系)ザイム(酵素)」であることが分かっています。
ホスホリパーゼA2(PLA2)はリン脂質を加水分解する消化酵素で、ハブ粗毒には複数種類含まれ、出血、浮腫、筋壊死、麻痺を引き起こすPLA2アイソザイムを構成しています。私たちは、この毒PLA2アイソザイムをコードする遺伝子が、通常の数倍の頻度による突然変異によって多様化する「加速進化」にさらされてきたことを突き止め、棲息する島ごとに組成と構造を変えて環境に適応してきたことを見出してきました。本研究は、このハブ毒PLA2遺伝子が密に繰り返した領域を解読し、毒遺伝子獲得のメカニズムを明らかにしようとしています。
利点・特長・成果■酵母からからヒトまでを含む真核生物の生命設計図であるゲノムの多くは、膨大な数の核酸の連なりです(例えばヒトゲノムは約60億個)。これは、遺伝子セットの倍化・重複と、その余剰遺伝子セットへの突然変異による多様化という過程によって確立されたと考えられています。そのため巨大なゲノムの40%ほどは様々な繰り返し配列・領域で占められており、この部分の解読は近年主流の次世代シークエンス法ではかなり困難です。私たちはトランスポジションという特異な機構を利用することで、ハブ毒遺伝子が密に繰り返す数十万個の核酸が連なった領域の完全解読情報を得ることに成功しました。
■この情報はハブを始めとするヘビゲノムのみならず、様々な生物のゲノムプロジェクトのアノテーション(注釈付け)を大いに支援しています。また、重複と進化の分子機構の解明は真核生物のゲノム形成過程の解明という普遍的な謎解きにも貢献できると期待しています。
その他の研究■日本南西諸島ハブ類ヘビの島嶼(大小の島々)における多様性の検証
■クサリヘビ血清に含まれる毒活性中和因子の同定と特徴づけ
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